アニマル×エデュケーション
Animal と Education がテーマのオージー娘が綴るつれづれ日記。

里山の自然

 日本を出る前に、日本の自然のことを知っておこうと思い、本を読んだり自然のあるところへ足を賊んだりしてみました。
読んだ本は、この本。
31106226.jpg「里山生きもの博物記」byヤマケイ。

 GWを利用して、群馬(サル調査の舞台)と富士山の麓の自然を見てきました。
群馬で見てきた自然は、典型的な里山の自然でした。山と山の間に人々が田んぼや畑を管理しながら生活しているところです。
まずはこの、日本の代表的な自然とも言える里山の自然のことを書こうと思います。

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[群馬県下仁田町 2003年8月撮影]

 里山というのは、人間が雑木林や谷戸の田畑を利用して、そこから燃料や食料を得る場のこと。昔から人々が生活の舞台としてきた中心に里山があったのです。
 そしてそれは、谷戸の地形がうまく利用されています。「谷戸」というのは、山の雑木林に降った雨が地面に染み込んで、それが山と山の間の低いところに湧き出たところのことを指します。この湧き出た水を利用して、人々は田んぼを作ったり、周りの山の雑木林から薪を得たりしてきたんですね。自然の恵みから恩恵を受けて生活してきたわけです。群馬で会った農家さんたちも、昔からそういう暮らしを続けている人たちで、話を聞いていると、身の回りの自然にとても精通していることが伝わってきます。
 また、生きものたちも、人の手入れしている谷戸の生活環境を利用して生きているようです。山の奥よりもむしろ、人の生活圏のすぐ近くにこそ、沢山の生きものが暮らしているんですね。そのわけを、色々と勉強しました。


●生態系の豊かさ
 生態系が豊かであるってどういうことだろう?と考えた時、大きな生態系ピラミッドをまず思い浮かべました。種類が多いだけではなくて、生態系が維持されるには、生態系ピラミッドのバランスがよくないといけません。つまり、それぞれの段でバランスよく種類が豊富でなきゃいけないんじゃないかな。。

 頭の中に、日本の自然を思い浮かべてみました。
まず生態系の頂点に来るものは?・・・オオタカ、サシバなどの猛禽類、キツネやイタチなどの肉食の哺乳類など。
真ん中らへんに来るのは?・・・虫などを食べる小鳥たち、ヘビやカエルなど。
底辺に来るのは?・・・多くの虫たち、げっ歯類やウサギなど草食の哺乳類、貝や小魚など。
そして、底辺の底辺を支えるのが、植物。という感じでしょうか。

 生態系のスペシャリストじゃないので、あくまで私の思い浮かぶままに書いてしまいました・・・(笑)。
 これらの生きものたちが、日本の里山の自然でどうしてこんなに多様でいられるのか。それには、一つ一つ理由がちゃんとあるようです。


●生きものが里山を選ぶわけ ピラミッドの底辺の方から考えてみよう。
まずは、植物。
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 森林に手入れをせず放っておくと、遷移が進みます。つまり、木の成長に伴ってだんだん林床が暗くなるので陽樹が生えなくなり、陰樹ばかりになってしまいます。
 里山の雑木林は、人々が材木を手に入れるために手入れがされています。人がたまに木を切ることで、遷移が進まず、陽樹・陰樹、高木・低木の入り交じる多様な雑木林が保たれます。結果、果実木の実や食べられる青葉も豊富になり、それらを食べる生き物たちも暮らしやすい環境が整うのですね。


・カエル、虫など
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 里山の人々は、四季に応じて谷戸田を管理します。
春には田んぼに水を張り田植えをします。
夏には伸びてくる草の手入れをします。
秋にはイネが実り、田んぼは乾田となります。
冬、イネ刈りも終え、休耕田となります。

 ホタルトンボなどは、成虫は普段林の中で過ごしているけど、産卵と幼虫の成育には水が必要です。また、カエルも同様。雑木林と水田の隣り合う谷戸という環境は、そういう生き物たちにとってまさに好都合な生息環境のようです。
 彼らは食べるものや生息環境や成虫になる時期などを少しずつ違えて、多くの種類がいっしょに生息しています。だから、時期をずらして色んな所に色んなやつらが見られるんですね。
 
 バッタなど、草原に棲む虫たちも、人が手の加えている草原に恩恵を授かっています。放ったらかして成長しすぎた草は、彼らにはあまりおいしくない。手入れされていつも新しい草の生える草原が、彼らの住みやすい環境のようです。

 カブトムシ、クワガタ、チョウなど子供たちに人気のある虫たちの集まる木も、実は人里の近くにあることが多いそうです。遷移の進まない人里の雑木林には、こういう虫たちの好きなクヌギなどの陽性樹も生えやすく、チョウが産卵する木の種類も豊富。人の手が加わった二次林だからこそ、色んな虫たちが木に集まって来るんですね。
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そして、ピラミッドの上の方の生き物たち
 生態系の底辺の生き物たちがこれだけにぎやかに棲める環境だから、それを餌にしている生き物たちも、イキイキ元気!!
 色んな種類の植物を食べるウサギタヌキシカ、今回群馬で見てきたサルなんかも、里山でおなじみの動物たちです。それから、虫、カエル、ネズミなどを食べる小鳥ヘビ、水鳥雑食性の哺乳類、それらの肉までも食べる猛禽類キツネ・イタチなどの肉食動物。
 それぞれの生き物が、それぞれの生息環境で、バランスを保ちながら暮らしています。
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 こんなふうに里山の自然は、人と多くの生き物がまさしく“共生”してきた、ニッポンの自然の象徴とも言うべき生息環境なのだということが分かりました。
 今まで私の生まれ育った東京都西部には“里山”と呼べるほどの豊かな自然はあまりありませんでした。というか、公園の自然で満足していたせいか、ここまでの豊かな自然には目がいっていませんでした。
 でも、ちょっと田舎へ出て自然に目を向ければ、色んな生き物がすぐとなりに棲んでいることに改めて気づかされました。この歳で、となりのトトロに出会えました。
 

 人が自然と共に生活していたのが当たり前だった時代、私たちは周りの生き物がこんなに豊かであることすら当たり前すぎて、意識が薄かったのかもしれない。
 次々に自然を壊して人間だけの生活圏で生活するのが当たり前になりつつある今、周りの生き物たちが少なくなって、私たちはその豊富さにやっと気づき始めました。
 失ってからでは、取り返しはつかない。にぎやかな隣人たちと共に暮らせるニッポンの豊かな自然を、これからも誇りに思い、将来それを次世代に伝えて行きたいと思います。


 
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