アニマル×エデュケーション
Animal と Education がテーマのオージー娘が綴るつれづれ日記。

被災地の旅-いわき後編-

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さらにお父様には、いわき市沿岸部を被災直後に空からパラグライダーで撮影した映像のDVDまでいただいてしまいました。それを家に帰ってから私の両親と一緒に見たのですが、それを見た両親からは驚きの言葉を聞いた。

「いわきの方はそんなに被害なかったのね。」

確かに、実際にその場所を見ずにDVDの画像だけを見ると、仙台周辺の地域に比べて被害は比較的少なく、航空動画では道路からではなく上空から写しているので被害はあまり深刻には見えないのかもしれない。実際その地を歩いて流された家の残骸を見て回ってからその場所の航空映像を見ると、そこに移っている被害の深刻さがよくわかるのだが、映像だけを見るだけでは伝わり方はその程度なのだなと、改めてメディアの伝えられることの限度を感じた。震災後、日本のテレビを通じて仙台周辺の甚大な被害の映像を散々見てきた両親からみたいわきの被害と、海外にいて日本のメディアにはあまり触れることなく直接いわきに行き、被害を自分の目で見て聞いて帰ってきた私の見るいわきの被害には、大きな差があった。いわきだけを見たら、沢山の家が流され200人もの人が亡くなった大惨事。なのに、東日本大震災全体で見たら、2万人のうちの200人。復興には外からの人の励ましや物資支援が不可欠だけど、やっぱりボランティアの人たちやメディアの取材はどうしても、物理的な被害の大きかった仙台の方に行ってしまうのが現状のようだ。外の人が支援するにあたっても、やっぱりメディアから得る情報だけを参考にせず、自分から動くことによって、もっと具体的に現状を知ることができ、本当に助けを必要としている人たちの力になれるのかもと思った。




福島にボランティアが集まりにくいもう一つの理由は、原発から漏れる放射能もあるだろうと思った。私のオーストラリア人の友人も4月に被災地ボランティアに行ったのだが、行く前に放射能が安全かどうかすごく心配していて、行くのを迷っていた。外から来る人にとっては、「福島=放射能飛んでる」のイメージから、とりあえず福島は避けておこう、みたいな心理壁ができてしまうのも仕方がないことなのかもしれない。

だけど、実際福島に住んでいる人たちは、そんな心配は微塵も感じさせないくらい、放射能のことを前向きに受け入れているように感じた。
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<Mちゃんのおばあちゃんのご自宅>

Mちゃんのおばあちゃんが農家さんをしているというので、わざわざおばあちゃんのおうちに連れて行ってくれて、お話をすることができた。
おばあちゃんはとても朗らかで優しい方でした。福島県のなまりがなんともいい感じの、トトロに出てくるおばあちゃんのような感じの人。

そのおばあちゃんの言葉。
「野菜も米も、今までと同じように、むしろ今までよりも厳しく検査をしてから出荷しているんだから、放射能の影響なんて心配することない。ちゃんと検査を通って市場に出ているのに、『福島産』ってだけでみんな買わなくなっちゃうなんておかしなこと。今まで通り、採れたお米は農協に出荷しているよ。まぁ、放射能は小さい子どもがいる家は気を付けた方がいいけども、私らみたいな年寄は、どうせ死ぬんだから、気にしていたらやってられない。子供がいる人たちも、食べ物や飲み水なんか毎日のことだから、気にしていたら生活できないんだから。まぁ、いわきの方は大丈夫だって言ってるんだし、もうみんな気にしていない。」
(という内容を、トトロのおばあちゃんみたいな口調でしゃべっているのを想像していただきたい。)

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実際おばあちゃんが大切に育てている野菜を見せてもらった。瓜、ゴーヤー、ネギ、大根、トマト・・・。畑で話を聞いていると、本当に野菜を大切にしていることが伝わってきた。そんなおばあちゃんが育てたおいしそうな野菜たちが、「福島産」というだけで買ってもらえないなんて、その場にいた私には理解が難しかった。


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おばあちゃんにもらった瓜とゴーヤーは、後日漬物とチャンプルーにしておいしくいただいた。わずかな放射能を体内に取り込んだのかもしれないが、自分の体がどれだけ体を修復してくれるかも知っているので、何も怖くはなかった。(放射能の秘める体への影響を知らないわけではないし、それを気にしている人に反論しているのでもない。ただ私の捉え方を書いただけということを一応書いておく。)





放射能に関しては、その影響を恐れてケアンズに移ってきた日本人と話す機会が多いおかげで去年から沢山のことを教えてもらい、意見を聞き、考えてきた。幸い私の周りには、放射能を徹底的に避ける人もいるし、私の両親のように「(福島産のものを)食べて応援しよう」という考えの人もいるおかげで、両サイドの意見を踏まえた上で自分なりの考えを膨らますことができた。私個人的には、小さい子供がいる人やこれから子供を産む予定がある人以外は、放射能を摂取するリスクよりも回避するストレスの方が大きいんじゃないかって思うから、気にせずなんでも食べればいいと思う。ですが、もし自分が子供を産む立ち場になったら、自分の子供を守れるのは自分だけだって思うから、放射能をどこまでリスクと考えるかは、それこそ自分から情報を集め、放射能のことを自分なりに理解し、自分でリスクを判断していくことが大事なのだろうなと思う。実際の影響やリスクの感じ方は人それぞれ違うものだから、その判断に正解なんかない。「子供を連れて国外に出よう」という判断をしてその親子が心身ともに健康でいられるのも大切なことだし、「食べて応援しよう」と言ってその人も福島の人もハッピーになれることも大切なこと。
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<「これ全部でたったの100円なのに誰も買ってなかったのよ!」と母が買ってきた福島産しいたけ>

つまりは、いろんな人がそれぞれ十人十色な判断をし行動をとることによって、一方向に偏った事態にもならないし、自分の判断に自分で責任を持つことで、不愉快な論争にもならずに済む。今まで先生や上司や政府に「右へならえ」だった日本の国民性も、この放射能の問題を機に、だんだん変わってきているように思う。震災を機に、「社会責任よりも自己責任」という考えの重要性に気付き始めた人が増えてきたように思う。長い目で見たら、国全体がよい方向に向かっていくのに必要な動きだと私は思うので、もちろん被災した人たちには本当に胸が詰まる思いがするが、震災はけして悪いことばかりではなかったと思う。こうやって問題が起こることで、社会の悪い部分が浮き彫りになり、改善されていくから。

だからこそ、今日本でそれぞれの考えを持って行動している人には自分の考えを信じて頑張っていって欲しいと思うし、人それぞれの考え・行動を受けて、社会全体がなるべく多くの人が満足する方向へ動いて行って欲しいと願っている。そして、私自身も、オーストラリアで自分ができることを信じて続けて行きたいと思っている。


そんなことを考えながら、いわきでの体験をまとめている、仙台行きの夜行バスの中。明日からは、もっと津波の被害が大きかった石巻・女川の方へ、ボランティア兼スタディー兼町興しイベント目的のツアーに参加してくる。
いわきで感じ、考えたことをベースに、自分に何ができるのかをじっくり考え行動に移して来ようと思う。



つづく
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